「営業職」と一言で表しても、その仕事内容は非常に幅広い分野になります。
しかし、実際に営業職と聞くと、自社商品を多方面へ売り込み、新規販路を開拓するような内容を思い浮かべるのではないでしょうか。
実際、【営業】という単語を辞書で調べてみても、そのような内容が記載されています。
- 利益を得る目的で、継続的に事業を営むこと。また、その営み。特に、企業の販売活動をいう。
- 得意先を回って顔つなぎをし、商品の紹介、売り込みをすること。また、新しい得意先を開拓すること。
今回の記事では、そんな営業という職種について、最低限必要なスキルを解説していきます。
初めて営業職に就いたけれど、何から身につければいいか分からないといった悩みを解消できる内容になっています。
ぜひ最後までご覧になってください。
何も考えずに営業をしても成果は出ない
営業職は「企業の販売活動」や「得意先を回って顔つなぎをする・商品の紹介や売り込みをする」といった目的で、日々業務に励むことになります。
勤めている業界や業種によって多少の違いはありますが、営業活動が上手くいくことは、基本的に少ないと思っておいた方が良いでしょう。
特に、新規販路の開拓については、スムーズに進んで成約に至るということは稀です。
もちろん、数も重要になりますので営業件数にこだわる必要はあります。
しかし、何も考えずに数だけこなしているだけでは、なかなか成果は上がらないでしょう。
営業職が自身の売上を上げるためには、多少の戦略が必要となります。
法人営業の場合、基本的には以下の内容を意識して取り組むことをオススメします。
- 既存販路を固める(接待ができるなら極力使い、地盤を盤石にする)
- 既存の中でも、売上比率の高い顧客からアポイントを取る
- 予算は既存顧客を伸長させることで出来る限り達成させる
- 新規販路の獲得はスキマ時間で行う
言い方が悪いかもしれませんが、売上比率の低い顧客に多くの時間を割くことは効率的ではありません。
もちろん、現在は売上が低いけれど、案内次第で大きく伸長する見込みがある顧客などには時間を使う価値もありますので、優先順位のバランスは各営業マンの力量が問われる部分ではあります。
それでも基本的には、売上の高い顧客から優先してアポイントの取得、商談の実施をおこないましょう。
その中でもスキマ時間は必ず発生するものですので、そのような余剰の時間を使って、新規販路の開拓をおこなうような意識が良いでしょう。
そして、新規販路についても、できるだけ獲得できる金額見込みが大きい顧客を優先するべきです。
見込みが分からないという場合もあるかもしれませんが、現在採用されている他社製品の動向を確認することで、おおよそ検討のつく場合が多いでしょう。
見込みが分からなければ、見積もりの作成はもちろん、顧客を納得させる商談もできませんので新規販路の想定売上については、なんとしてでも確認する必要があります。
そして、想定される売上を元に、既存顧客同様上位先から営業をおこなうようにしましょう。
また、法人営業ではなく、個人向けの飛び込み訪問の場合は、既存販路を固めることが難しいかもしれません。
そのような場合は、過去のデータから売り込んでいる商品が売れやすい地域や、求められやすい地域、商品に適した家族層などを徹底的にリサーチした上で、営業活動をおこなってみましょう。
とにかく、何も考えずに手当たり次第におこなう営業は、非効率かつ安定した成果を出すことが難しくなります。
営業マンが身に着けるべき10の能力
営業マンは多くの能力を身に着けなければいけません。
特に、営業経験が浅い場合や、初めての場合は何から手を付けていいのか分からないという方も多いでしょう。
ここからは、営業マンが身に着けるべき10の能力として、最低限できるようになれば問題ないと思われる点を解説していきます。
- 聞きやすい声で話せる
- 滑舌を良くする
- TPOに合わせた態度
- お客様へのこまめな連絡
- 商談スタンスの確立
- お客様に話してもらう
- 名刺の渡し方
- 断られても関係を終わらせない
- 自分と相手の感じ方は違う
- デメリットを踏まえた提案の仕方
聞きやすい声で話せる
インターネットが発達した現代ですので、以前のように直接対面で顧客と話すという機会が減っている業界もあるでしょう。
しかし、対面でもネット上でも、最終的には会話が重要。
聞きやすい声で話せるということは、営業マンとして基本的なスキルとなります。
しかし、聞きやすいという部分に対して、そこまで難しく考える必要はありません。
ワントーン上げた声で、お腹から発声していれば、聞き取りにくいと感じる相手は少ないでしょう。
逆に、低い声で口を開かずに話してしまうと、相手に自分の声が届きにくくなってしまいます。
電話での会話で無意識に声が高くなるようなイメージで、はっきりと口を開けて話すことができれば、まず問題ないでしょう。
活舌を良くする
発声同様に、滑舌も声の聞き取りやすさに大きく影響します。
滑舌が悪いと思われる原因として、無意識に早口になっている場合があります。
早口で聞き取りにくい滑舌で話をされると、聞いている相手には自信が無いように写ってしまいます。
伝えたいと思う部分は特にゆっくりと、落ち着いたトーンで話すことを心がけてみましょう。
しかし、生まれつき舌っ足らずである場合や、上手く舌を回せない単語があるなど、個人差があることも事実です。
そのため、ご自身が出来る範囲で滑舌は注意する程度で問題ありません。
滑舌を意識していれば、聞きやすい声で話すことに繋がりますので、相手には十分伝わるはずです。
TPOに合わせた態度
TPOとはそれぞれ、以下の単語をかけ合わせた言葉です。
- Time(時間)
- Place(場所)
- Occasion(場合)
つまり、場面場面において適切な態度を取ろうということになります。
社会人であれば、1人の大人として普段は問題無くこのような振る舞いはできているでしょう。
しかし、慣れない営業の場面では、焦る気持ちなど色々な要因によって、いわゆる「浮いている」状態になることもありえます。
気持ちを落ち着かせて、普段どおりの態度でその時々に適した態度を取るように気をつけましょう。
また、TPOに合わせた態度の応用として、以下のようなものもあります。
- 日中顧客との商談中は非常に堅い雰囲気を纏う
- 接待中などのフランクな場面では多少砕けた姿勢を見せる
上記のようなギャップを見せることで、相手との距離を縮めることに繋げられる場合もあるでしょう。
お客様へのこまめな連絡
お客様へは定期的に訪問することや、連絡を取るように意識しましょう。
一般的に「顧客フォロー」と呼ばれる行動ですが、具体的には以下のような内容があげられます。
- 商談後や訪問後のお礼メールの送付
- 新しい商品やサービスの案内
- 新規顧客へは期間を空けずに小まめに訪問
人は時間が経過するにつれて、何事も忘れていってしまうものです。
つまり、小まめに連絡することは、忘れられる前に連絡を入れることで、顧客の頭の片隅にあなたを存在し続けることが目的となります。
メール、電話、訪問など色々な方法がありますが、出来る限り定期的な訪問が最も効果的でしょう。
あまりに長期間空いてしまうと、こちらとしても訪問することが億劫になってしまうものです。
そうならないためにも、小まめな連絡を意識していきましょう。
商談スタンスの確立
営業になりたての時は、とにかく商品の良さや魅力をアピールすることで精一杯かもしれません。
また、話す事に苦手意識を持っている人の場合は、「噛まずに話す」や「スムーズに話す」ことが目的となってしまうこともあります。
緊張する原因の多くは、初めておこなう作業だからということが多くあります。
緊張を取り除くために、商談スタンスを確立しましょう。
訪問時の最初の言葉、商品紹介の流れ、最後の一言などを自分の中で決めていくのです。
あまりに機械的になっても問題ですが、ある程度自分のなかで商談の流れを決めていれば、行き当たりばったりの商談よりもスムーズに進むはずです。
また、良くある質問などに対する回答も事前に用意しておくことで、変に会話が詰まることも防止できます。
自分の中で話しやすい商談スタンスを確立してみましょう。
お客様に話してもらう
営業と言えば、とにかくこちらから話をしてアピールしなければいけないと思いがちですが、そうではありません。
一生懸命話す内容は、残念ながら顧客には届いていないことが多いでしょう。
ほとんどの人は、自分の話を聞いてもらいたいものです。
ですので、基本的に相手に話してもらうことを意識してみましょう。
そのために、まずは雑談ベースで相手に質問をしてみましょう。
基本的に内容は何でもかまいません。
天気の話から、「週末は何をされているのですか?」などと聞いても良いですし、相手の服装から、「その服はどこで購入されたのですか?」などでもかまいません。
とにかく、自然な流れで相手が話をしている時間を多くしてみましょう。
名刺の渡し方
営業職ではない職種の場合、意外とやらないのが名刺交換です。
名刺交換は初対面の相手と始めにおこなうことですので、ここでスマートにおこなうことができれば、その後の印象も変わってくるでしょう。
具体的な流れは、以下の通りになります。
名刺を準備する
手元に事前に用意しておきましょう。
相手が複数人いる場合は、自身の名刺入れの下に、あらかじめ人数分の用意をします。
名刺を渡す
基本的に右手から渡します。
この時、社名・部署名・フルネームをはっきりと名乗りましょう。
相手よりも低い位置から渡す意識で交換します。
複数人いる場合は、相手の役職が高い順番で交換してきます。
名刺を貰う
相手から名刺をいただいた後は、直ぐに両手で持ちましょう。
そして、「頂戴いたします。」などの一言を添えます。
この時、相手の名前の漢字が珍しい場合などは、そのことに対して質問してもかまいません。
交換後
名刺交換の後、商談が始まる場合は、自身の名刺入れの上に相手の名刺を置きます。
複数人いる場合は、相手が座っている位置に並べましょう。
また、最も役職が高い方を自身の名刺入れの上に置くようにします。
そして、商談終了時や立ち去る時に、相手の名刺を両手でもって、「頂戴いたします。」と一言添えた上で、自身の名刺入れに入れましょう。
営業必須オススメアイテム!
断られても関係を終わらせない
日々営業活動をしていると、断られることも多くあるはずです。
しかし、一度断られたからといって、その後その顧客を二度と訪問しないということは避けましょう。
なぜなら、人はその時々によって、求める商品やサービスが異なってくるからです。
その時は、いらないと思って断ったとしても、再訪問時には必要になっている場合も少なくありません。
前述した、「お客様と小まめな連絡」同様に、潜在顧客としてフォローは欠かさずおこなう意識を持ちましょう。
自分と相手の感じ方は違う
営業活動だけではなく、対人関係においても自分と同じ考えや感じ方をもっている人はいません。
つまり、どれだけ自分が素晴らしいと思っている商品やサービスでも、相手が同意してくれるとは限らないのです。
ですので、なかなか理解してもらえないといっても、相手に腹を立てる必要はありません。
「自分はこう思うけど、相手はそう思わないんだな。」といった程度で、仕方ないと諦める部分もあるでしょう。
この考えは、顧客に対してだけではなく、社内の上司や部下に対しても使うことができます。
「自分と同じ感じ方をする人はいない」という意識を常に持っておきましょう。
デメリットを踏まえた提案の仕方
どれだけ素晴らしい商品やサービスでも、少なからずデメリットは存在します。
「素晴らしい商品ではあるが、価格が高い」ことや、「素晴らしいサービスではあるが、効果が出るまでに時間がかかる」などなど。
営業時には、このようなデメリットとも言える側面も、包み隠さず提案したほうが良い場面は多いでしょう。
上記の例で言えば、「価格が高いのは確かですが、それだけ他の商品よりも優れている」や、「効果が出るまで時間がかかるが、その後の効き目は圧倒的」といったように、デメリットをメリットと言い換えた提案をします。
あまりにもいい話だけでは、聞いている顧客も逆に不安になってしまいます。
デメリットを踏まえた提案も使ってみましょう。
営業未経験の人はまずこれを身につけろ!
営業マンが身につけるべき10の能力として紹介しました。
なかなか意識しなければ身につかない部分もあったかと思います。
そこで、ここからはまずはここから意識して身につけて欲しいという内容を、以下の3点に分けて紹介します。
- 電話口での対応に仕方
- お客様に記憶してもらう雑談ネタ
- 服装や身だしなみでの清潔感
電話口での応対のやり方
営業は訪問が最も相手の印象にも残り、効果的である場面が多いです。
しかし、移動時間や距離など、物理的な面から頻繁に訪れることが難しい場面もあるでしょう。
そこで、次の手段としては電話になりますが、ここでの対応を意識してみましょう。
電話は対面での会話とは違い、声だけのコミュニケーションになりますので、いつもより声のトーンや発声を意識しなければ、思っていることを伝えることが難しくなります。
この点は、前述した10の能力でもお伝えしたように、「聞きやすい声で話せる」や「滑舌を良くする」といった話にも繋がってきます。
はっきりと滑舌良く話すことを、電話口での対応をもとに身につけてみましょう。
また、電話をこちらから掛ける場合も、受ける場合もでも直ぐにメモを取れるように事前に用意しておきましょう。
そして、要点をまとめてはっきりと端的に伝えることを心がけます。
このような内容は、訪問での商談や会話にも役立ちます。
まずは、電話口での対応をベースに商談スキルを上げていきましょう。
お客様に記憶してもらう雑談ネタ
記憶してもらう雑談ネタを用意しましょう。
このように言われても、どんな内容が良いのか分からないという方が多いでしょう。
「芸人でもないのに、そんな一発芸みたいなことはできない…」と思ってしまうことも無理はありません。
しかし、「雑談」ですのでそこまで難しく考える必要はありません。
あくまで、相手に興味を持ってもらい、結果的に頭の片隅に記憶してもらうだけで十分なのです。
この内容は、10の能力の中でも「お客様へのこまめな連絡」、「商談スタンスの確立」、「お客様に話してもらう」の3点に直接通じます。
そして、営業活動における雑談は「アイスブレイク」と呼ばれます。
緊張した空間を氷に見立て、その氷(空間)を砕くという意味合いでこのように呼ばれています。
一般的にアイスブレイクの定番となる話題に、「きどにたてかけし衣食住」というものがあります。
それぞれ、話題の頭文字を取ったものですが、その内容は以下の通りです。
- き/季節や気候
- ど/道楽や趣味
- に/ニュース
- た/旅(旅行)
- て/天気やテレビ
- か/家族
- け/健康
- し/仕事
- 衣/衣服やファッション
- 食/食事や料理やお酒
- 住/住まいや出身地
上記のように、いわゆる雑談の内容はほとんど網羅しているかと思います。
この中から、相手の興味がありそうな話題を上げてみましょう。
少なくとも仕事の話をしているだけよりも、遥かにお互いの記憶に残ることでしょう。
服装や身だしなみでの清潔感
記憶してもらう雑談ネタを用意しましょう。
このように言われても、どんな内容が良いのか分からないという方が多いでしょう。
「芸人でもないのに、そんな一発芸みたいなことはできない…」と思ってしまうことも無理はありません。
雑談などとは違い、身だしなみは今すぐに誰でも手に入れることができるテクニックです。
よれよれのスーツとシャツ、擦れた革靴と整えられていない髪型といった人から、商品を買おうと思いますでしょうか。
そして、営業マンは、会社の看板として顧客の前に立ちます。
自身の身だしなみが、そのまま会社のイメージへと繋がりますので、最低限の清潔感は意識しましょう。
しかし、そこまで難しく考える必要はありません。
ファッションにこだわりがない人でも、スーツの組み合わせは決まっています。
サイズ感にだけ注意すれば、誰でもキレイに着こなすことができるでしょう。
そして、自宅ではハンガーに吊るす、シャツは毎日洗濯するなど、基本的なことだけで問題ありません。
革靴についても、今は安くて良いものがたくさん販売されていますので、靴磨きが面倒な人でも1年に一回程度買い換えれば、印象を損ねることは無いでしょう。
身だしなみは誰でも簡単に手に入れられる武器です。
最低限の部分で損をしないためにも、毎朝鏡の前に立って全身を確認するようにしましょう。
営業マンが読んでおいた方がいい3冊
新人でも経験者でもオススメできる営業マンの本を3冊ご紹介します。
基本についての本から成果を出した人のノウハウをまとめたものです!
- アポすら取れない
- 数年営業してきているがここ最近全然結果が出せていない
- 新しく営業を始めるのにどうしたらいいものか
読めば解決、活路が見出せます。
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営業力は必ず生きてくるので頑張っていきましょう!
営業マンが覚えるべきテクニックとして、それぞれの内容をお伝えしてきました。
営業は単に商品を売るだけではなく、非常に多くのテクニックが複雑に絡み合った職種だと思います。
ですので、そのスキルは一朝一夕で手に入れることは難しいでしょう。
しかし、日々の活動の中で試行錯誤しながら、自分の中で工夫していくことで間違いなく力はついていきます。
そして、その身につけた営業力は必ずその後の人生において大きな役に立つことでしょう。
そのために、本記事の内容がスタートのお役に立てれば幸いです。