電気代が一気に跳ね上がった!料金高騰の原因と今後の予想を解説します!

「なんだか毎月の電気代が高くなっている気がする。」

「空調設備を使いすぎたせいかな?」

電気代について、上記のように感じている方は多いかもしれません。

月々家計簿をしっかりと管理して、昨年との比較が可能な家庭の場合は価格が上がったのかどうかを判断できますが、そうではない家庭の場合は感覚的なものとなってしまいがちです。

「今年の夏は暑かったから、エアコンを使いすぎていたのかも…」

このように考えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、実際問題として2022年現在の電気代については高騰しているということが現実です。

停電になるとパニックになってしまうように、電力は私達の生活において必要不可欠なものとなっています。

そんな電気代が値上がりしている状況ですので、家計へのダメージは非常に大きなものとなるでしょう。

いつのころからか、「節電」という言葉を頻繁に聞くようになりましたが、電気代が値上がりするのであれば、小まめな消灯を意識することや、節電家電への買い換えなども頭に浮かんできます。

それでも共働き夫婦などの家庭で、休みのタイミングが違うような場合には、節電対策もなかなか徹底しておこなえない場合もあるかもしれません。

今回の記事では、そもそもなぜ電気代が高騰しているのかについての理由について解説していきます。

また電気代が決定する内訳についても説明しますので、業界に詳しくない方でもより深く理解していただけるはずです。

ぜひ最後までご覧になってください。

電気代が高くなっている原因

2022年9月現在、電気代は年々高くなっている状況です。

実際、ここ1年以内において電力会社から、「値上げのお知らせ」が手元に届いたというご家庭も少なくないでしょう。

それでは、実際どういった原因で電気代は高くなってしまっているのでしょうか。

実は値上げの原因は単純ではなく、複数の問題が絡み合っているのです。

ここからは、その問題についてそれぞれ分けて解説していきます。

燃料費調整額の高騰

まず1つ目の原因としては、「燃料費調整額の高騰」があげられます。

電力会社から届く値上げを案内する書面においても、この内容が記載されていることが多いかと思われます。

日本における発電の割合は、火力発電が70%以上と高い数値となっています。

火力発電は原油や液化天然ガスといった燃料を燃やして、その熱エネルギーを電力へと変換する方法です。

そして、日本はこのための燃料の多くを輸入でまかなっています。

そのため電気料金が固定されている場合、燃料費の変動額によっては電力会社が大きく損をしてしまう可能性があります。

そういった状況を防ぐために、ある3カ月間における燃料費の平均額を基準として、それ以上ならば電気料金に加算、低ければ電気料金を下げるという制度が採用されているのです。

つまり、燃料費用の平均が高くなっていることに加えて、直接電気代の値上がりに反映されているということが、電気代が高騰している理由の1つとなっているのです。

再生可能エネルギー発促進賦課金の値上げ

通称、「再エネ賦課金」と呼ばれる制度です。

具体的な内容としては、発電に伴う二酸化炭素の排出削減を目的として、再生可能エネルギーを使用した発電を普及させようとしています。

太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスといった発電方法があげられますが、実際導入するにあたっては高額な費用が発生するのです。

この高額な導入費用を回収するために「固定価格買取制度」という制度によって、電力会社が一定価格、一定期間に限り発電した電力を買い取ってくれるのです。

そして、この買取価格のために徴収されているお金が「再エネ賦課金」なのです。

環境面に優しいエネルギー発電ができることや、日本国内のエネルギー自給率の向上などといったメリットがありますが、その分負担も大きくなっていることは事実です。

この「再エネ賦課金」が値上がりする原因は、対象となる発電所が増加傾向にあることです。

結果として、買い取られる電力の量も多くなっていきますので、対応するためには値上げせざるを得ない状況なのです。

異常気象などによる電力需要の増加

需要が増えれば、価格は上がるということは市場経済においての基本です。

そして、このことは電力にも当然当てはめることができます。

近年の異常気象とも言える冬場の寒波や、夏場の猛暑などによる一時的な需要増も電力価格高騰の1つの要因と言えるでしょう。

実際テレビなどで節電要請が呼びかけられている光景も、珍しいものではなくなってきました。

海外では電力需給の逼迫により、大規模な停電が発生しているケースもあります。

液化天然ガスの不足

火力発電において必要な燃料の1つに、液化天然ガスと呼ばれるものがあります。

そして、この液化天然ガスは使用される燃料の割合において、約70%を占めてます。

他の燃料などと同様に、液化天然ガスは海外輸入にほとんど依存しているのですが、物流網の渋滞や産出国のトラブル、さらには他国による買い占めなどが重なり、日本国内における使用量が減少しました。

このように通常使用していた燃料が使用できず、代替品に頼らざるを得ない状況も、電力価格高騰の一因と考えられるでしょう。

また、JEPX(日本卸電力取引所)が液化天然ガスの在庫量を非公開としていることも、不足に繋がった原因であるとも言われています。

国際情勢

2022年2月にロシアは、東ヨーロッパのウクライナへと侵攻しました。

世界的にロシアに対して経済制裁を開始することになりましたが、日本も例外ではありません。

2022年5月に日本は「ロシア産石油の原則禁輸」を発表することとなりました。

ロシアは世界有数の天然資源の生産国でありますが、そこからの輸入に頼らないということで燃料価格が上昇し、火力発電でのコストも高くなってしまいました。

結果として、現在の電力価格の高騰に繋がっていると考えられています。

侵攻が長引けば石油だけではなく、石炭や天然ガスといったその他資源にまで制裁が及ぶ可能性もあります。

そうなれば、さらなる価格高騰は避けられないかもしれません。

その他

ここまで電力価格の高騰に繋がった原因を解説してきましたが、まだまだ他にも考えられる内容はあります。

例えば、新型コロナウイルス流行の影響による、在宅ワークの普及もその1つでしょう。

外出自粛などにより在宅時間が増えるほど、家電などによる電力消費が高まり、結果として電力需要の増加において解説したように、価格高騰へと繋がってしまいます。

また2019年10月からの消費税増税により、単純に電力価格は2%上乗せされている状況です。

他にも、原子力発電所の停止によって、火力発電の割合が増加したことも価格高騰の面では1つの原因とも言うことができるでしょう。

このように、電力価格の高騰は様々な問題が絡み合って起きているのです。

電気料金の内訳はどうなっている?

電気代高騰の原因を確認していればお気づきかもしれませんが、電気料金は様々な要因によって決定されるのです。

電気料金の使用明細は毎月届くけど、その内訳については把握していない方は多いかもしれません。

ここからは、そんな電気料金の内訳について一度確認していきましょう。

基本料金

契約プランごとの設定

基本料金は、「電気の使用量に関係なく、毎月必ず発生する料金」です。

つまり、長期の旅行などで1カ月以上電気を使わなかったとしても、この基本料金だけは必ず支払う必要があるのです。

なぜ使用料に応じた金額設定にできないのかと言うと、電力会社は電気を各家庭に届けるための設備費用が必要だからです。

電力供給を安定して続けるための料金といったイメージが分かりやすいかもしれません。

そして、基本料金については、電力会社や地域によって異なってきます。

契約しているアンペア数(容量)に応じて変動する、「アンペア制」とよばれる価格設定が一般的であり、使用できる容量が大きいほど基本料金が高額となります。

ある程度の目安としては、280円前後〜1,700円前後が基本料金となることが多いでしょう。

電力量料金

電力量料金は、「使用した電力量に応じて発生する料金」です。

「先月はエアコンをずっとつけていたから、電気代が高い!」と思った場合には、この電力量料金が上がっているはずです。

この料金は「1kWh」という単位を基本として価格が設定されており、この価格に使用した電力量(kWh)を乗じて計算します。

  • 電力量料金=1kWhあたりの価格×使用電力量(kWh)

電力会社によっては、この電力量料金の価格を三段階で設定していることがあります。

これは「三段階料金」と呼び、使用した電力量が増えるほど、価格が高くなる仕組みになっています。

電力の使いすぎを防ぐといった意味合いで設定されていますが、いずれにせよ使いすぎると高くなることには変わりありません。

燃料費調整額

火力発電において、原油や液化天然ガスといった資源が必要であることは前述した通りです。

車のガソリン価格が変動するように、火力発電に必要な資源の価格も毎月変動します。

この価格変動を電気料金に反映したものが、燃料費調整額として請求されるのです。

電力会社は毎月、2カ月先の燃料調整単価を計算して発表しています。

この価格は上がるだけではなく、当然仕入れコストが下がったときには電気料金から差し引かれています。

再生可能エネルギー発電促進賦課金

再生可能エネルギーとは、火力発電のような有限な資源を使用した発電方法ではなく、半永久的に利用できるものを指します。

「再エネ賦課金」として先ほども解説しましたが、環境問題への対策及び、日本国内のエネルギー受給率増加を目的として導入が推奨されています。

そして、このような設備は導入に高額投資が必要となりますので、電飾会社が一定期間、固定価格で電力を買い取ってくれる仕組みがあるのです。

この買取価格について、電力を使用する全員が折半して支払っているというイメージがこの「再生可能エネルギー発電促進賦課金」です。

エコ発電が普及すれば、将来的に国民全員がリターンを得られるということで、毎月の電気代に上乗せされています。

電気代がこれからも上がっていく要因

ここまで解説してきたように、電気料金は高騰の一途を辿っています。

それでは、ここから先は料金の安定、もしくは値下がりが起こることはあるのでしょうか。

残念ながら、現状の予測としてはこれからも電気料金は上がり続けると考えられています。

その理由を6つに分けて、それぞれ解説していきます。

要因①SDGsの普及

この数年で、SDGsという単語を耳にすることが増えてきました。

これは持続可能な社会を目指すといった内容において、様々な課題解決のための目標を指すのですが、その中の1つに「脱炭素」も重要なものと考えられています。

つまり、発電方法についても太陽光などに代表されるクリーンエネルギーを普及させることになるのですが、これらが増加することで「再エネ賦課金」の金額も向上する可能性があるのです。

何かしらの対策はあるかもしれませんが、現状の仕組みでは電気料金増加の要因となる可能性は十分に考えられます。

要因②電力需要の増加

現在の電気料金高騰の要因の1つとして、異常気象による空調設備の使用増や、在宅ワーク普及による電力需要増があるとお伝えしました。

この電力需要については、今後減ることは考えにくく、むしろこれからも増え続けるのではと言われています。

その大きな理由としては、電気自動車の普及があげられます。

現在日本国内においてはガソリン車の割合が比較的高い状態ですが、世界的な傾向としては電気自動車の普及率は高まっています。

この流れが続くと、今以上に電力需要が増加することは容易に考えられるでしょう。

要因③火力発電への依存

SDGsによる「脱炭素」が目標とされていますが、実際問題として直ぐに移行させることは難しいでしょう。

現在の状況として、電力需要に応えるだけの供給を賄うことができるのは、火力発電を稼働させる他ありません。

また、原子力発電所を稼働させるか否かについては、様々な意見があり難しい部分でもあるでしょう。

SDGsでは2030年や2050年といった区切りを目標として「脱炭素」を実現すると定めていますが、逆に言えばそれまでの期間については、現在の発電方法を使わざるを得ないということにもなります。

このような背景からまだ数十年の期間は、火力発電への依存は続いていくと考えられます。

結果として、火力に必要なエネルギー高騰の煽りを受けることは避けられませんので、電気代はさらに上がっていく可能性は否めないでしょう。

要因④国際情勢の混乱

2022年2月に起きた、ロシアによるウクライナ侵攻は世界中のエネルギー事情に大きな影響を与え続けています。

日本においても、ロシア産石油の輸入禁止を経済制裁としておこなっているということは、前述した通りです。

結果として、火力発電に必要なコストが高くなっていることが、電気料金高騰の要因の1つに繋がっているのです。

そして、このロシアとウクライナに関する情勢は現状、先行きの見えない状態が続いています。

長期化に伴う市場の混乱は引き続き継続されると考えられますので、電気代増加へのさらなる影響は避けられないでしょう。

要因⑤JEPXスポット市場の高止まり

JEPX(日本電力取引所)とは、日本で唯一電力卸取引ができる場所です。

電力自由化の流れを受けて、2003年に設立された組織であり、会員登録した電力会社と取引をおこなっています。

そしてここでは、24時間を30分に分けた単位を1コマとして電気が売買されています。

各電力会社はJEPX内の「スポット市場」という取引場にて、翌日に受け渡す電気を入札するのです。

ここでの価格が国際情勢などの影響により高騰しており、さらに各電力会社間での競り合いによって価格が上昇しているのです。

この流れは当分続くと考えられており、さらなる電気代増加の要因となる可能性は高いでしょう。

要因⑥急進行している円安

2022年9月時点の日本円価格は数十年ぶりの安値水準となっており、海外からの輸入を必要とする商品の多くは値上げが続いている状況です。

そして火力発電に必要な資源の多くについても、外国からの輸入に頼っていることはすでに解説した通りです。

つまり、火力発電に依存する状況に加えて、それに必要な資源の値上がりも避けられない状況なのです。

加えて国際的な情勢悪化に伴い、エネルギー資源の価格は上昇していく可能性が高いという状況ですが、仮にこのような資源高騰が無くても、円安だけで2割程度の値上げの影響を受けているのです。

円安と資源価格という二重の高騰に直面しているということで、現在から価格が下がるという状況は中々考えにくいかもしれません。

まとめ

昨今の電気代高騰の原因について解説してきました。

これまで「なんとなく高くなっているかな?」といった印象だった方も、今回の記事で値上がっている現状を知っていただけたかと思います。

そして、電気料金については今後も益々値上がりが続く可能性が高いです。

要因としては国際情勢や円安といった、個人では対策が難しい内容を多く含んでいますが、小さくても個人個人でできる対策はあります。

節電知識もその1つですが、この機会に自家発電を少量でもおこなうことも良いかもしれません。

少しずつ知識を身につけて、出来る限りの対策をおこなってみましょう。