「営業職はキツい!」
「営業職はストレスが多い!」
「営業職は長時間労働になりがち!」
営業職に対して、上記のように考える人は多いのでは無いでしょうか。
確かに会社の顔として、日々多くの顧客と顔を合わせて、月々のノルマ達成に向けて奮闘することになりますので、楽な職種ではないかもしれません。
そんな営業職ですが、業界によって事情が異なることをご存知でしょうか。
一言で営業職と言っても、実際は様々な形があります。
例えば、一般顧客に営業を行う「個人営業」と、企業や団体を相手に営業を行う「法人営業」だけでも、働き方や提案方法も大きく変わってくるでしょう。
今回の記事では、そんな営業職の働き方や事情について、特に大変と言われている10の業界に分けて紹介します。
最後まで読んでいただければ、ご自身に合った業界や合わない業界が見つかるかもしれません。
ぜひ最後までご覧ください。
実は営業も業界で全然違う!
「営業」として働くと一言で言っても、実際はその業界によって大きく異なります。
一般的に分けられる分類としては、「個人営業」と「法人営業」が大きな違いとなるでしょう。
それぞれの業界や違いは、以下の通りとなります。
個人営業
一般的に「BtoC(Business to Customer)」と呼ばれる営業職です。
略語の通り、商品やサービスを直接個人(一般消費者)に案内する営業活動を行います。
比較的単価の低い商品を販売することが多くなりますので、いかにして数を売るかといった点が成績に大きく影響してくるでしょう。
また既存顧客からの安定した売上確保は難しい傾向にありますので、常に新規顧客の開拓をする必要があります。
法人営業
一般的に「BtoB(Business to Business)」と呼ばれる営業職です。
こちらは、企業が企業に商品やサービスを案内する営業活動を行います。
個人営業と比較して、単価も大きいことが多く、一度得た顧客からは継続して発注がもらえる可能性も高い活動となります。
つまり、新規案内ももちろんありますが、どちらかと言えば既存顧客のフォローが多い営業と言えるでしょう。
このように、「営業職」は大きく個人営業と法人営業の2つに分けることができます。
どちらが向いているかは人それぞれの適正によりますので、ご自身の長所短所と照らし合わせて考えてみてください。
営業が大変な10の業界
それでは、実際に営業が大変な業界はどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは、以下の10の業界における営業事情について解説していきます。
- 不動産業界
- IT業界
- 生命保険業界
- ハウスメーカー業界
- 車業界
- メーカー系業界
- 人材業界
- 広告代理店業界
- 食品業界
- 建設業界
不動産業界の営業事情
住まいやオフィスなどの物件の仲介をおこなう不動産業界の営業は、みなさん一度はお世話になったこともあるのではないでしょうか。
一般的には所有している物件の販売や、賃貸や売買の仲介をメインとして活動します。
不動産は当然単価も高く、大きな買い物となりますので、顧客の人生における大きな転換点に立ち会うことになります。
顧客が希望する通りの物件を上手く案内できれば、感謝されることもありますのでこの点は大きなやりがいとなるでしょう。
また市場規模も大きく、いつの時代でもニーズがある業界ですので、一度身につけた営業スキルが不要となる心配もありません。
その反面、上手く売上を作るためのスキルや物件を見極める目を養うためには、長い経験が必要となります。
そして個人営業がメインとなりますので、長期休暇や週末は基本的には繁忙期。
顧客に合わせたスケジュール管理が必須となりますので、場合によってはプライベートの時間を削るといったことも少なくないようです。
また、宅建に代表される資格も長い目で考えた場合は必要になるかもしれません。
営業活動を日々行いながらも、勉学の時間も確保できる自制心が強い人であれば、不動産業界の営業で大きく活躍する機会はあるでしょう。
IT業界の営業事情
IT業界と一言で言ってもその内容は多岐に渡ります。
一般的にはパッケージソフトやシステム開発、Webサイトの制作などITに関連するサービスを販売する営業となるでしょう。
取り扱うサービスがIT業界だけあって、やや専門的となりますので、営業マン自身もITに関する知識やスキルが必要となります。
営業相手は多くの場合が法人となりますので、企業へ出向いた上でサービスの特徴や導入した場合のメリットなどのプレゼンを行い、最終的には契約に結びつけることを目的とします。
IT自体の目的は、企業の問題を解決することになりますので、企業ごとに抱えている問題や悩みを先回りして提案するなど、広い視野を持った人は重宝されるでしょう。
しかし、ITサービスはそう簡単に契約に至ることは少なく、基本的には断られることが多いようです。
そして、営業方法も電話でのアポイントが主流となっており、多くのケースでプレゼンすらできない状況が続きます。
そのため、メンタル的にやられてしまう営業マンも少なくありません。
ITに強い興味があり、自分で現状を突破するといった強い気持ちが無ければ厳しい業界かもしれません。
生命保険業界の営業事情
生命保険営業は、個人顧客に対して、それぞれに適したプランを提案した上で保険の加入を進める活動です。
顧客のライフプランに寄り添った提案が求められますので、上手くいけば大きく感謝されることもあるでしょう。
そして、仕事で得た知識は自身にはもちろん、家族や身内にも提案することもできます。
なかなか業界にいなければ考えることの少ない保険や、資産運用といった知識を身につけることができるため、将来的には市場価値の高い人材へとなることも可能でしょう。
一方で、ノルマ達成が給与に直接左右することが多い業界となっています。
結果を出せば出すほど、高い給与となる反面、上手くいかなければ収入が上がらないといった、実力主義の側面が色濃い業界です。
この点はやりがいに感じる人もいると思いますが、そうではない人にとっては厳しく感じるはず。
また生命保険は顧客の人生に大きく影響する商品です。
ですので、間違えた提案をすることがないよう、日々勉強や最新の知識を学び続ける姿勢も必要となります。
そして、顧客の都合に合わせた働き方も少なからず必要となりますので、小回りの良さも求められます。
感謝されるやりがいもある反面、プライベートを削る必要もあるなど、どうしても厳しい側面を持ち合わせている業界でしょう。
ハウスメーカーの営業事情
ハウスメーカーの営業は、一般的に一戸建て住宅の販売をおこなうこととなります。
住宅ということで、顧客にとっては一生に一度の高額な買い物となりますので、営業マンの責任は重く、決して楽な仕事とは言えないでしょう。
主な仕事としては、週末におこなわれる住宅展示場に訪れた顧客に営業を行います。
そこで一戸建てを検討している顧客に対して、要望をヒアリングしながら提案を進めていきます。
当然、土地探しから始まることもありますので、予算の設計からローンの紹介も必要となりますので、幅広い提案を身につけなければいけません。
不動産業界同様に、顧客の人生の転換点に立ち会うことができることは、大きなやりがいにつながるはずです。
そして、自身の売上次第では収入を大きく伸ばすことも可能でしょう。
その反面、ノルマの設定が厳しいことも多いようです。
一般的には1カ月に1件売ることができれば優秀と言われ、新人の場合は2カ月に1件が目安となります。
一見少なく感じるかもしれませんが、住宅自体の見込み客も多くない上に、高額な商品ですのでそう簡単には売れません。
それでも熱意を持ってやりきれる人は、大きなやりがいと共に楽しめる業界かもしれません。
車業界の営業事情
車業界は大きく分けて、自動車メーカーの営業と、ディーラー営業の2つに分けられます。
自動車メーカーは、ディーラーへの営業支援が主であり、その他は大口の顧客である企業や官公庁向けの法人営業を行います。
そして、ディーラー営業は個人顧客向けへの営業活動から、販売後のアフターフォローが主な活動となります。
ですので、一般的にイメージしやすい車業界営業と言えば、ディーラー営業でしょう。
ディーラー営業は特に資格や学歴も必要なく、普通自動車免許があれば問題ありません。
車が好きな方であれば、商品の魅力を顧客に解説するなど、趣味と実益を兼ね備えた営業も可能でしょう。
またディーラー営業は個人営業でありながら、顧客担当制を導入しています。
つまり、決まった顧客と深い信頼関係を築くこともできますので、この点は大きなやりがいの1つとなるでしょう。
しかし、車は高額ですのでなかなか売れない反面、ノルマを追う必要があるなど、厳しい点も当然あります。
また、土日が繁忙期のため基本的には平日休みとなります。
場合によっては商品のクレーム対応を受けることがあるなど、やりがいも大きいですがデメリットも少なからず存在しています。
メーカー系の営業事情
「メーカー」とは製造業関係の業界を指します。
つまり、自社で製造した商品を営業する法人営業が一般的でしょう。
業界は多岐に渡りますので、それぞれの業界によって扱う商品や知識は異なってきますが、営業活動としては一般的に下記の3点に分けられるでしょう。
- 新規営業:新しい販路を開拓するための営業活動
- ルート営業:既存の取引先へ新商品の案内
- 反響営業:問い合わせがあった先へ対して商品を案内する
メーカー営業において、上記で最も多い活動がルート営業となります。
そして、ルート営業の場合はすでに取引がある企業を相手にしますので、新規営業のように邪険に扱われることも少なく、精神的にはある程度余裕をもって活動できるはずです。
自社製品が導入に至り、自身がその商品が世に出回る一環を担っていると考えると、非常にやりがいのある営業でしょう。
その一方で、他業界の営業と比較した場合、1人に任される業務の幅が多い傾向にあるようです。
企業に提出する見積書の作成から、提案資料の作成はもちろん、メーカーによっては製品やサービスの納品から代金回収までも担当する場合もあります。
また、顧客ニーズを最も理解しているということで、商品開発に携わるケースもあるなど、営業職の垣根を越えた幅広い活動が求められます。
そのため残業も多くなる傾向にあるなど、自身で働き方のマネジメントが必須の業界と言えるでしょう。
人材業界の営業事情
人材業界とは、人材を企業に紹介したり派遣するなどの活動をおこなう業界です。
つまり、求職者と企業を上手くマッチングさせることを目的としますので、お互いから感謝されることも少なくないでしょう。
営業先は、求職者と企業のそれぞれに働きかける必要があります。
求職者に対しては、経歴やスキルなどと人物像をヒアリングした上で、希望に合った企業を紹介します。
企業に対しては、採用戦略の立案や改善、見直し提案までを行い、最適な求職者を提示できるように働きかけます。
上記の内容から、求職者と企業の求めている内容を的確に把握するための、高いヒアリング力が必要となるでしょう。
そのため、コミュニケーションコストが高くなる傾向にありますので、常にあらゆる方面からの問い合わせ対応に追われることも少なくないようです。
また、ノルマも厳しいことが多い上に、求人数は景気の影響を受けやすいため、場合によってはどうしてもノルマ達成が難しい状況になる場合もあります。
両者に的確な提案を行いながら、幅広い業界への興味関心を持ち続けることができれば、非常にやりがいのある業界でしょう。
広告代理店の営業事情
広告代理店は「電通」に代表されるように、人気のある花形業界かもしれません。
日本中で放送される広告に携わることができ、扱う金額も非常に大きくなります。
しかし、その営業スケジュールは非常に過酷と言われることが多く、常にクライアントの都合を優先して動かなければいけません。
曜日、時間を問わずに対応する場合もありますので、休みも不定期となった結果体調を崩したというケースも少なくありません。
また仕事量も多い上、そのスピード感も他業種と比較して速いようです。
そしてテレビ業界に携わるということで、業界特有の接待が多いという特徴があります。
過酷なスケジュール、業務量、接待など厳しい側面も多いですが、その分仕事の達成感も大きく、収入も他業界と比較して高いことが多いようです。
結果を出そうと奮闘できる、新しいものが好き、チームでやり抜くことが好きといった点に当てはまる人であれば、大きなやりがいを持って働くことができるでしょう。
食品関係の営業事情
食品営業は、多くの人が口にする有名商品から、これから流行するかもしれない新商品の販売に携われるなど、比較的人気の業界かもしれません。
また、衣食住に括られるように、業界自体が衰退する可能性も低くなっています。
食品営業の働き方は、前述したメーカー営業と似ています。
新規、既存、反響営業の3種類に分けられ、既存営業が最も多くなりますので、精神的な負担は少なくなるでしょう。
しかし、業務量も多く、メーカーによっては担当するエリアも広くなる場合もあります。
また新商品の発売前は多くの顧客にプレゼンをしなくてはならず、出張の数も増えるでしょう。
商品を採用してもらう量販店が最も強い位置にいることが多いため、バイヤーからの無理難題に対応する場合もあります。
多い業務量と広い範囲の移動などのデメリットも存在しますが、精神的な負担は比較的少ないなど、一長一短ある業界となっています。
建設業界の営業事情
建設業界の営業は、前述した不動産やハウスメーカーとは違い、建物そのものを建てるための工事を獲得してくる活動となります。
スケール感の大きい仕事ですが、その中身は大きく以下の2つに分けられます。
- 公共事業
- 民間事業
かつての建設業界営業は、公共事業の受注が大半でしたが、現在では少しずつ民間事業への営業数も増えてきています。
そして、その他営業と同様に既存顧客へのフォローと、新規顧客の開拓と2つの先へ働きかけます。
建設工事はそう頻繁におこなわれないこともあり、既存顧客への営業については、つねに売り込みをするわけではないようです。
関係性を繋ぎ止めるための雑談や、現状の情報交換などをベースとしながら、次の工事契約のタイミングをうかがっていくのです。
また建設工事は大きな金額が動きますので、顧客としては当然信頼できる企業へ依頼したいものです。
ですので、どれだけ腕のいい職人が多くても、営業マンのイメージや信頼がそのまま会社への信頼へと直結してしまいます。
このようなプレッシャーもありながら、休日出勤や接待も多く、ノルマの設定も低くありません。
しかし自分の仕事が建築物として残ることや、給与も高い傾向にありますので、適正にあっていれば大きな成果と収入を得ることが可能でしょう。
求めるキャリアアップに繋がるなら転職も視野に!
営業職について、10の業界の事情を簡単に解説してきました。
ご覧いただいたように、営業と一括りにしても、業界によって求められるスキルや人材というものは異なっています。
つまり、「今の職場で営業職が辛い!」と思っている場合でも、転職することで自身の適性にあった活動が見込めるわけです。
また、営業職の根底は商品やサービスを広めるという点は、どの業界にも共通しています。
他業種の営業方法を知っているあなたは、転職先で重宝される可能性は低くないのです。
自身のキャリアアップにも繋がりますので、転職も視野に入れながら日々の営業活動に勤しんでいきましょう。
大変だけど面白いのが営業職
いかがでしたでしょうか。
それぞれの業界の営業職の事情について解説してきました。
どの業界も良い側面と厳しい側面の2つがあり、まさに一長一短です。
顧客と会社の間で板挟みになりながら、その中でベストな回答を探すといった大変な側面もありますが、成功した時のやりがいはどの職種にも代えがたいものがあるでしょう。
大変でありながらも、その中に面白さを含んでいる「営業職」。
営業の正解は1つではありませんので、ご自身の中での正解やスキルを日々磨きながら、転職も視野に入れた上で活躍されることをお祈りしております。
この記事がお役に立てれば幸いです。